非暴力トレーニング
非暴力トレーニング
非暴力トレーニングは他の種類のワークショップと比べて特徴的なことがいくつかあります。まず、自分自身の内側を見つめることに重点をおきます。心理学的なアプローチが特徴的で、自らを暴力の「主体」として位置づける作業を行います。「主体」というのは、暴力を生み出す主体であるということと同時に、暴力を克服する主体でもあるということです。次に、暴力について理論的な学習も行います。身近な暴力が社会の大きな暴力と理論的にどのようにつながっているのかを学習します。最後にファシリテーターは、会場でのファシリをすると同時に、内容に関して明確な方向性をもっています。ワークショップなので、何らかの結論を押し付けることはないですが、明確な達成目標があります。
その中でも特に印象が強いのが、思考と身体がチグハグであることを認識しようとする点です。たとえば、頭では「暴力はダメ」だと思っていても、身体は思考に反して手を出したりします。これは同時に「平和は大切」と思って思考していても、身体は別の行動を取る可能性があるということです。
先日、港区の天光院で非暴力トレーニングのワークショップを行いました。
イラク現地のNGO、インサーン代表のアリーさんがファシリテーター、私がサブを努めました。彼が、最初に協力の大切さを説明し、「これから1分で腕相撲をして下さい。勝った回数の多い人が勝者です。」というと、参加者は相手より多く勝とうと必死で腕相撲を始めました。
私たちの頭は「協力」が大切とわかっていながら、参加者は「協力」とは別の「競争」を選択します。思考と身体が別々に動いてしまいます。また、「勝つ」=「相手を負かす」 とう固定観念も行動を邪魔します。結果、多い人で4,5回。少ない人で0回という結果になりました。しかし、中には100回というグループもいました。そのグループはある私たち。勝ち負けを交互に腕相撲することで1分間でお互いが100回も勝てるのです!
現在の学校教育では競争することだけを教えられ、協力することは教えてくれません。しかし、協力することが思考レベルでなく、身体レベルで動けば、このようにお互いが勝者になれることを教えてくれます。